今回はSANMIXの混合原理について、一般的な容器回転式混合機と比較しながら見ていこうと思います。
混合機は粉粒体に与える機械作用の種類によって下記の5種類に分類されます。1)
(1)容器回転式、(2)機械攪拌式、(3)流動攪拌式、(4)無攪拌式、(5)高速せん断・衝撃式
このうち容器回転式の特徴としては以下のような点が挙げられます。
①粉体に掛かる力は弱く、ソフト且つ緩やかに混合が進行する
②容器内にデッドスペースがなく、完全排出が可能で、洗浄も容易
③容器が着脱可能なタイプがあり、その場合は異物混入のリスクがない
④凝集しやすい粉体の混合には不向き
⑤重力と遠心力で混合するため、回転速度には上限がある
それではこれらの特徴について一般的な容器回転式混合機とSANMIXを比較していきます。
5つの特徴の内、②と③は両者に共通する長所です。
SANMIXでは保管用の容器自体を装置にセットできるため、装置の洗浄は不要で異物混入のリスクもありません。
次に短所でもある①、④についてですが、特徴⑤が一因となっています。
一般的な容器回転式混合機では回転によって粉体を持ち上げ重力で落下させることで対流を起こしていますが、回転数を高めて粉体に大きな力を加えようとすると遠心力によって粉体が容器壁面に張り付いてしまい、重力で落ちてこなくなります。
その結果、混合は進行しなくなりますので、あまり回転数を上げることができません。
一般的には100rpm未満で運転します。(図-2_a)
その対処として一般的な容器回転式混合機では図-1に示す例のように、容器を特殊な形状にすることでせん断力を高めたり、回転だけでなく揺動を加えたりするなど回転力以外の方法で粉体に与える力を高める工夫がなされています。
それに対してSANMIXの場合を見ていきます。
図-2_bのように粉体は公転による遠心力によって外側へ押し付けられます。
しかし容器は自転もしており、この自転は前述の遠心力とは無関係です。
そのため壁面付近の粉体は容器との摩擦力によって自転方向にも力を受け、対流が発生しますので、遠心力が強くなっても粉体が容器に張り付いたまま動かないということはありません。
その結果、一般的な容器回転式混合機に比べて遥かに高速な240rpmでの運転が可能となっております。
また「技術情報BLOG 第1回」でも説明したように、容器の傾きが装置の外から見て一定方向となる機構を取り入れているため、上下方向へのせん断力もかかります。
以上の特徴により、SANMIXでは回転容器式混合機が苦手とする凝集性の高い粉体や流動性の低い粉体に対しても高い混合性能を発揮することができます。
今回解説しました特徴の具体的な混合例は「混合事例BLOG」で随時ご紹介しますので、そちらも合わせてご覧ください。
※参考文献
1) (社)日本粉体工業技術協会編 粉体混合技術 日刊工業新聞社 2001年(https://pub.nikkan.co.jp/books/detail/00000593)