技術情報TECHNICAL

[技術情報]_混合過程の数値シミュレーション (3)(離散要素法 DEM)

2022/06/17

前回までの数値シミュレーションでは、容器内での粒子の動きに着目してSANMIXと一般的な混合装置の比較を行いました。(→前回の記事)今回はその動きの違いが混合度に与える影響について検証していきます。

まずは装置の外見上の動きと容器内の粒子の動きをまとめましたので以下の動画をご参照ください。前回説明しましたようにSANMIXでは粒子は容器内を水平方向に回転するだけでなく、上下方向にも揺り動かされていることがわかります。

動画_1 SANMIXの動き

動画_2 一般的な自公転式混合装置の動き

 

この運転を約90秒間続けると粒子の配置は下図のような状態になりました。ここでは上下方向の混合度に着目して検討していきます。運転前の状態では大きい方の粒子(赤)を下側に、小さい方の粒子(緑)を上側に、それぞれ500個ずつ配置しております。運転後の一般的な自公転式混合装置では容器の上側に大きい粒子(赤)が集まってしまっており、混ざっていません。それに対してSANMIXでは若干の偏りはあるものの全体的に満遍なく同じような比率で両粒子が分布しています。

図-1_90秒間の混合結果比較

 

上図のように粒径差がある粒子群に力を加えた際に、大きい方の粒子が浮上していく現象を「ブラジリアンナッツ効果」と呼びます。この現象の原理は明確にはなっていませんが、大まかにいうと大粒子の方が下方向へ動きにくいことが原因となって結果的に上に溜まってしまうようです。これは混合作業に限らず粉粒体を扱う工程において一般的に見られる現象です。

 

(参考)左の動画がブラジリアンナッツ効果の例です。ステンレスボルトの方がアルミナの粉に比べて密度が大きいにも関わらず、振動を与えることで粉の表面へ浮上し、そのまま留まっています。

SANMIXでは上下方向にも大きな力が働き、上で示した動画のように粒子群全体として雪崩のように崩れていくターンが存在するため、一度浮上した大粒子も簡単に底部へ落下でき、その結果ブラジリアンナッツ効果を抑制できているのではないかと考えます。

今後も実験と並行して、このようなシミュレーションによって粉体混合に対する知識を深めながら、その知見をご紹介していきます。

 

参考文献

[1] (社)日本粉体工業技術協会編, 「粉体混合技術」, 日刊工業新聞社 (2001)(https://pub.nikkan.co.jp/books/detail/00000593

[2] 酒井幹夫, 茂渡悠介, 水谷慎, 「粉体の数値シミュレーション」, 丸善出版 (2012) (https://www.maruzen-publishing.co.jp/item/b294230.html

[3] 湯晋一, 梅景俊彦, 「粉粒体の流れの数値シミュレーション」, 鉄と鋼 Vol.81 (1995) No.11 (https://www.jstage.jst.go.jp/article/tetsutohagane1955/81/11/81_11_N556/_pdf