混合事例MIXED CASE

[混合事例紹介]_充填率の影響

2023/04/24


今回は試料の充填率と混合度の関係について検証します。これまでは100mLの容器に試料を2種類50gずつという条件で試験を実施してきました。アルミナ研磨材のかさ密度が約2g/mlですので、充填率は約50%です。今回は充填率がこれより大きい場合について混合度を比較し、充填率が混合性能に与える影響について検証しました。

 

[試料条件]

さて検証では下記の粉体を使用しました。(図1)

アルミナ研磨材 アルミナ研磨材(WA280;粒径50μm;白色) + 炭化ケイ素研磨材(GC1000;粒径11.5μm;深緑色)

図1_混合前粉体写真

こちらは以前、240rpm×30分、充填率50%で問題なく混ざっていた組み合わせです。(→こちらをご参照ください)

充填率を上げることで粉体の動きが鈍くなり混合速度や混合性能が低下することが想定されるため、充填率50%ならよく混ざる粉体の組み合わせを基準として選定しました。充填率を上げることでどの程度混合性能が低下するかを検証します。

充填率は下記の2パターンを用意しました。

①50%(各試料50gずつ)

②75%(各試料75gずつ)

 

[運転・測定条件]

また運転及び測定は次の条件で行います。

・運転条件:\(240rpm\times{5min}\)

・初期配置:上側 アルミナ研磨材WA280(粒径50μm)、下側 炭化ケイ素研磨材GC1000(粒径11.5μm)

・混合度測定箇所:試料全体から20か所ずつ

※以前は運転時間30分で混合しておりましたが、今回の試料のように混ざりやすい組み合わせの場合、30分ではどちらも混ざってしまい、差がわからなくなる可能性が考えられます。そのためまずは短時間で比較を行い、その後時間を調整していく想定です。

 

[試験結果・考察]

図1に混合後の両者の外観写真を示します。外観上は明確な差は見られません。

図2_混合後比較写真

次にそれぞれの試料から20か所ずつサンプリングを行い、粒度分布測定装置を用いてアルミナ研磨材と炭化ケイ素研磨材の混合比のバラツキを確認しました。表1に測定データをまとめます。

標準偏差から算出した混合度は、①充填率50%で97.5%、②充填率75%で96.5%となり、いずれも良く混ざっていることがわかります。

表1_充填率50%と75%の混合後の比較

数値を比較すると充填率50%の方が若干混合度が高いように思えますが、経験上この程度の差は測定による誤差の範囲であり、明確な差があるとは言えません。もう少し運転時間を短くすれば差がわかるかもしれませんが、運転時間が5分から多少短くしたときに充填率の影響が表れたところで、実際の運用上はほとんど影響がないと考えられますので、検証はこの1パターンで終了しました。

上記の試験結果からSANMIXが得意とする粉体の組み合わせで使用した場合、充填率の影響をほぼ受けないことがわかりました。粉体を混ぜる場合、粉体自体が動くための空間が必要となるため、充填率40~50%程度での運用が一般的に推奨されています。しかしSANMIXでは粉体を3次元的に動かそうとする力が強いため今回の検証のような短時間・高充填率でも充分な混合度が得られたのだと考えられます。

但し今回は100mLの容器での比較であり、大容量の容器を使用した場合は差が表れる可能性があります。またSANMIXが苦手とする粉体の組み合わせでも検証が必要です。

これらの検証課題については今後順次実施していきます。

 

弊社に試料を送付いただければ、このような混合テストもさせていただきますので、ぜひお問い合わせください。

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